人間が社会活動をする上で、二酸化炭素など温室効果ガスの発生を完全にゼロにすることはほぼ不可能です。しかし、環境に優しい自動車を使ったり、風力や太陽光などの再生可能エネルギーを活用したりすることで発生を抑えることはできます。さらに植林などによって森林での吸収量を増加させることや、排出削減につながる活動に投資することもできます。このような取り組みで温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること、これをゼロカーボンといいます。ゼロカーボンを目指すことは、猛暑や豪雨など地球温暖化が原因とされる気候変動に歯止めをかけるために必要です。

温室効果ガスとは二酸化炭素、メタン、フロン、一酸化二窒素などで、その濃度が上昇していることが地球温暖化の原因とされています。特に地球温暖化にもっとも影響を及ぼすのは排出量のほとんどを占める二酸化炭素とされ、日本において排出される温室効果ガスの約９割を占めています。一方で温室効果ガスは地表面から放射された熱を吸収して大気を暖める効果もあります。国立環境研究所の予測によると、もし大気中に温室効果ガスがまったくないと仮定すると、地球の平均気温はマイナス１９℃程度になってしまうということです。

気候とは大気の平均状態のことを指し、さまざまな要因や時間軸で変動しています。化石燃料の使用による温室効果ガスの排出量増加や森林破壊などの「人為的な要因」に加え、太陽活動の変化や火山の噴火などの「自然の要因」も含みます。特に人為的な要因は、気候変動に大きな影響を及ぼすとされています。また、すでに排出された温室効果ガスにより気候変動はすぐに止めることはできません。温室効果ガスの排出抑制などでその進行を遅らせ、気候変動の影響を緩和させることが求められています。

パリ協定は２０２０年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際ルールです。２０１５年にフランス・パリで開かれた第２１回国連気候変動枠組条約締約国会議（ＣＯＰ２１）で採択されました。産業革命前からの平均気温上昇を２℃より低く抑えるため、今世紀後半に世界全体で排出を「実質ゼロ」にすることを決めました。協定は２０１６年１１月に発効。先進国のみに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書とは異なり、パリ協定では全ての国が削減目標を自主的に設定し報告。その達成に向けた対策をとることを義務づけました。

持続可能な開発目標（SDGs）とは，2001年に策定されたミレニアム開発目標（MDGs）の後継として，2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され，地球上の「誰一人取り残さない（leave no one behind）」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず，先進国自身が取り組むユニバーサル（普遍的）なものであり，日本としても積極的に取り組んでいます。